「サッカーマティクス」を読んで
サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」 (サッカー数学)を読んでの感想。 本書の目的は「数学観とサッカー観の両方を一変させる」こと。 「数学を現実世界に当てはめてみることは、その理論の細部を正確に理解するのと同じくらい重要なこと」とあるようにサッカーに対する数学的アプローチの考え方が大変面白く、思考整理の参考になった。
すべての選手が自分の役割を果たし、パスや動きを通じて連携を保つことで、チームは部分の総和以上の力を発揮できるようになるのだ。この「チーム全体が部分の総和を上回る」という概念こそが、サッカーを数学的なスポーツにする。
本書では、サッカーマティクスを用いて様々な問題に挑んでいる。出発点は常にサッカーだが、そこで足踏みすることはない。 どの章も、サッカーと数学の組み合わせが強力な類推につながることを示す物語で構成されている。
本書ではサッカーの詳しい知識も難しい数学知識などの前提は必要なく、興味深く物語に陶酔できた。
チャンピオンズリーグ決勝の終了間際に2ゴールが決まる確率は?なぜバルセロナの「ティキ・タカ」パスはあれほど効率的なのか?なぜリーグ戦の勝ち点は3なのか?メッシとロナウド、どちらの方が名選手か?なぜブックメーカー(賭け屋)はあれほど魅力的なオッズを提示できるのか?
上記のような切り口のテーマが数学的な根拠で明らかにされるのが大変面白い。
2章 バルセロナと粘菌の隠れた共通点
構造を理解する一つの方法は、俯瞰するというものだ。
フォーメーション・ネットワークの分析と、粘菌との共通点の考察は興味深かった。
7章 戦術マップが暴くチームの個性
イタリアとスペインの最大のちがいはパスのネットワークにある。 スペイン・チームは、1人の中心的なミッドフィルダーにパスを集める代わりに、4人の選手にある程度まんべんなくパスを出した。計算された中心性の値は、イタリアの19.7%に対し、スペインは14.6%。これは微々たる差だがトーマスの研究によると、中心性の値が小さいチームほど有利になる。 中心性の値が小さいチームほど有利になる。(中略) パスの分散が勝利をもたらしたのだ。
8章 部分の総和を上回る超チーム力
1+1は3にも4にもなる 「チームの規律と自己の規律、個人の責任と集団の責任」を教え込むことであり、「それができて初めて全体が部分の総和を超えるものになる」
サッカーマティクス 数学が解明する強豪チーム「勝利の方程式」
- 作者: デイヴィッド・サンプター,千葉敏生
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2017/06/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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